起雲閣は熱海へ行くなら必見です。金剛・玉姫はレトロモダンの極み!

美術

熱海と言えば温泉か梅園を思い浮かべる方が多いと思います。

が、熱海には他にもMOA美術館・熱海城・最近新設された駅ビルを始めとした駅前商店街といった観光名所があり、真剣に味わいつくそうとするなら少なくとも3泊くらいは必要なボリュームのある観光地です。

この記事ではそんな熱海の観光名所の中でも一押しさせていただきたい、起雲閣についてご紹介します。

起雲閣とは?

起雲閣は、ぶっちゃけて言えば大正時代~昭和時代初期に建てられたお金持ちの御屋敷です。

とは言ってもただの御屋敷ではありません。当時の最先端の意匠を凝らして作られていて、今から見てもものすごく心惹かれる装飾技術の高さを誇っています。

特に、「玉姫」「玉渓」「金剛」と名付けられた昭和初期当時の最先端の意匠を凝らした洋室群は、21世紀に住む我々の目から見ても手放しで称賛したくなるほどの美しさを誇っています。

終戦後に持ち主が変わり、旅館として平成12年まで運営されました。旅館であった頃には多くの文豪たちが宿泊し、この起雲閣で名作を書き上げたのです。

その後熱海市に所有が移ったことで、我々一般人に有料で開放されるようになりました。熱海市が有料開放に踏み切ってくれたおかげで、誰でも少しのお金で前世紀の至宝とも言うべき建物や造作・文豪たちのつめあとの数々に触れることができるのです。

それでは、おもな見どころを御紹介します。

玉姫

昭和7年(1932年)に建てられた洋館の中の一室が、玉姫と名付けられています。

とりあえず論より実写。天井を撮った写真をお見せします。


この緻密な工藝。加えて、「玉姫」の名に恥じぬどことなく可愛らしさを備えた意匠。

これが戦前からあったんですよ!凄いと思いませんか!?

とにかく人生に一度は、実物を見て頂きたいです。

玉渓

こちらも玉姫と同じ1932年に造られました。


これぞ西洋と東洋の美の融合。英国チューダー様式を用いた外観ながら暖炉の上には大胆に仏像を配するなど、異文化美術の良いところを貪欲に取り入れています。

それでいて全く下品になることなく、気品が十分に感じられる雰囲気。玉姫と同様、戦前文化の粋と言えると思います。

文豪たちの客室

玉姫・玉渓と金剛との間には旅館時代の客室を保存した部屋がいくつかあります。

尾崎紅葉や坪内逍遥といった著名な文豪の名が冠されており、部屋の中には文豪達の功績や起雲閣との関わりが紹介展示されています。

部屋の奥の椅子に座って外を眺めると、こんな感じです。まさに和洋の意匠の良い所が融合した眺めだと思いました。

金剛

金剛は昭和4年(1929)年に建てられた洋館の一室です。

この気品溢れる美しさ!人生一度でいいからこんな素敵な部屋で優雅なティータイムを過ごしてみたいものです。隣にあるローマ式浴室も見所です。

その他の見どころ

このほか、加賀の国より伝えられた瑠璃色の砂壁を持つ麒麟の間、対照的に赤い砂壁の孔雀の間など、見どころには事欠きません。

また、周りを一連の建物に囲まれた庭園も重要な見どころです。周りの部屋から眺めるもよし、庭園内を散策するもよし。どの部屋から見ても美しく見えるように設計を凝らしてあるそうなので、是非色々な場所からの眺めを楽しんでください。麒麟の間の建物では2階にある大鳳の間に上れますので、上からの庭園の眺めも楽しめます。

真剣に見ながら一回りすると結構な時間がかかりますので、玄関正面にある喫茶室「やすらぎ」で一休みがおすすめです。この喫茶室自体は新しく作られた部屋ですが、戦前のレトロモダン趣向満載の内装が施されています。メニューもコーヒーのほか紅茶・抹茶があり、20世紀前半の美の余韻に浸るひと時が過ごせると思います。

おわりに

熱海に行く機会があれば起雲閣に是非立ち寄ってみて下さい。

熱海駅から行きは下り坂なので歩いていき、帰りはバスかタクシーを使うのが良いと思います。ただ、休日は熱海へ行く道が混むので、余裕を持っておきましょう。

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