11か月にわたる改装工事で休館していましたが、2017年2月5日にリニューアルオープンしたとのことで、さっそく見に行ってみました。
アクセス
MOA美術館へは熱海駅から車かバスかタクシーで行きます。
熱海駅へ行くなら、やっぱり東海道新幹線が圧倒的に便利。
美術館をゆっくり楽しむには、やはり開館時間と同時に飛び込むのがベストです。時間が遅くなればなるほど人が多くなり、ゆっくりと展示を楽しむことが出来なくなります。
そのためにおすすめの新幹線は、東京発8時26分のこだま639号です。自由席で行くなら、先頭1〜2号車が比較的空いています。
熱海駅到着は9時16分。駅を出たらタクシーでMOA美術館へ向かえば、開館直前のちょうど良い時間にMOA美術館に到着できます。タクシー料金は、中型でも1000円はかかりません。
美術館の特徴
MOA美術館の特徴は、とにかく建物や構築物にお金がかかっていそうなことと、展示品の写真をいくら撮っても構わないことです。
建物の特徴
バスやタクシーで来て入館してまず驚かされるのは、入口から展示室へ延々と続くエスカレーターの長さです。
このようなエスカレーターが延々と続き、途中にいくつかの踊り場的な休憩室があります。キエフの地下鉄の駅みたいな感じです。中には天井全体にプロジェクションマッピングが施された休憩室もあり、惜しげなくお金を使って建てられた感じがします。
美術館本体も広大な床面積をぜいたくに使っている上、日当たりの良いカフェに加えてお食事処もいくつかあり、館内に本格的な能楽堂もあり、おまけにいくつもの日本建築や竹林を内にそなえた広大な庭園までが美術館の中にあるのです。本当に潤沢な資金を使って建てられたことが分かります。
美術品の存在を差し引いたとしても、広大な設備を見て歩くだけでも入館料を払った価値があったと思えるほどです。
贅沢な設備の象徴とも言える存在が、豊臣秀吉が時の天皇に自ら茶をふるまった総金箔張りの黄金の茶室を再現した部屋です。一代で貧しい民から天下人まで成り上がった秀吉らしい、ひと目で贅沢と分かる茶室です。
このように、MOA美術館の最大の特徴は、とにかくお金をたくさん使ったと思われる設備の数々です。これらの設備だけでも一見の価値があります。
写真撮影全面OK
MOA美術館のもう一つの特徴は、全館写真撮影OKなところです。普通の美術館では館内の美術品展示スペースでは写真撮影が禁じられているところが多いのですが、MOA美術館は全て撮影できます。さすがにフラッシュは無理ですが。。
入口の受付スペースを写真撮影しようとするだけで警備員に制止されるような美術館さえ普通にある中で、非常に勇気ある試みだと思います。
美術品
MOA美術館には、中国隋代から現代まで幅広い美術品が展示されています。いくつか印象に残った美術品を紹介しましょう。
洋人奏楽頭図屏風
16世紀に南蛮文化が日本へ渡来した頃、南蛮文化に触れた日本人が描いた西洋風意匠の屏風です。南蛮人が持ち込んだ絵を模写したものかもしれませんが、目新しい異文化を貪欲に自分のものにしようとする日本人の魂は今も昔も変わらないものだと感心させられます。
歌麿の美人画
江戸時代を代表する美人画家、喜多川歌麿。日本といえば「ウタマロ」と、海外にもその名はとどろきわたっています。
そんな歌麿の美人画の一つがMOA美術館にあります。江戸時代の人々が感じていた美を実感できるひと時を過ごすことができるでしょう。
継色紙
わが国最初の純和風文化が花開いた、平安時代中期。藤原道長や紫式部など、貴族文化が全盛期を迎えた頃です。その時代に書かれたひらがなを切り取った断片が継色紙と呼ばれています。
千年の時を経て伝えられてきた日本文化の至宝。そんな貴重な文化財ですら、MOA美術館にあっては多くの美術品の中の一つとして収まっています。
一番人気の展示品は、、
MOA美術館の一番の展示品は尾形光琳作の紅白梅図屏風(国宝)です。この作品は現地に行って実物を見てみて下さい。
MOA美術館の運営母体
MOA美術館は1982年に開館されましたが、岡田茂吉氏のコレクションがもとになっています。この岡田茂吉という人は世界救世教の初代教主でした。
世界救世教はいわゆる新宗教の一つで、「浄霊」という手をかざす儀式的なふるまいが特徴です。一定以上の年齢の方の中には、駅前など人の多いところで「お浄めさせてください」とお願いされた方も多いのではないでしょうか。
贅を極めた設備や展示の数々も、宗教で集まるお金がもとになっていると考えると納得できます。今の時代、最もお金を集めることができるビジネスは宗教なのかもしれません。
入信を押し付けられるのは勘弁していただきたいものですが、宗教のおかげで贅沢な施設や貴重な美術品の数々を手軽に味わえるのですから、あながち宗教という存在も否定はできないですね。
おわりに
MOA美術館は新幹線熱海駅からタクシーで数分という至便な場所にあり、贅沢をつくした設備や展示、および山の中腹から見下ろす熱海の街並みや相模湾の風景を見れば、きっと日常をしばし忘れられることと思います。東京からさほど遠くなく、最近は上野東京ラインの効果で北関東からも時間があればたやすく行くことができます。是非一度行ってみてください。