江之浦測候所訪問レポート!予約してお金を払って行く価値は充分ありました!

美術

2017年10月9日に一般向けに新しくオープンした江之浦測候所へ行ってきましたので、紹介とともに感想をレポートします。

江之浦測候所とは?

江之浦測候所をひとことで言うならば、現代日本を代表する写真家・建築家として有名な杉本博司さんが作り上げられた美術施設です。

美術館でも博物館でもなく美術施設という表現を取ったのは、普通の美術館のようにケースに入った展示がないからです。

そのかわり、門や回廊などの建築と舞台をはじめとする設備が多くあり、それぞれ美術的な意匠を味わうことができます。

江之浦測候所へのアクセス

江之浦測候所はJR東海道線根府川駅からバスで10分ほど真鶴側へ入ったところにあります。

ただし江之浦測候所には通りがかりでは入れず、予約が必要です。公式Webサイトから予約しましょう。

伝統芸能の再考を試み、古典芸能から現代演劇までの企画、制作、公演を行い、また既成の価値観にとらわれずに収集かつ拾集された「杉本コレクション」の保存および公開展示を通して、日本文化を広い視野で次世代へ継承する活動を行います。

予約しておけば、根府川駅から送迎バスに乗ることができます。(根府川駅発9:30、12:30、春夏のみ15:30)

ちなみに最初に断っておきますが、この施設は中学生未満は入場お断りです。また、全館禁煙です。

周辺環境

江之浦測候所の周辺は海に切り立った急峻な崖が続く地帯で、昔は東西交通の難所として箱根とともに関所が設置された要衝だったとのことです。

そんな地形のため今も豊かな自然が残されており、静かで風光明媚な環境です。 

またどこにいても雄大な相模湾の眺望を楽しむことができ、天気が良ければ景色だけで一日楽しめると思えるほどです。

主な施設

江之浦測候所はフラッシュ・三脚を使わなければ写真・動画を撮ることが認められていますので、存分に思い出を残しましょう。

名月門

江之浦測候所の入り口に入ってしばらく坂を登ると、昔の意匠らしい立派な門がお出迎えしてくれます。

この門は名月門といい、室町時代の建築だそうです。中世らしい素朴ながらもしっかりした佇まいを感じました。

夏至光遥拝100mギャラリー

入場したお客さんはまずは名月門には入らず、左手にある待合棟で受付を済ませてから施設を見て行く仕組みです。

待合棟とその横にある細長い建物はモダンなガラス張りの建築で、周辺の自然や名月門などの昔を感じさせる建物と好対照をなしています。

この細長い建物は中に杉本さんの写真作品が展示されているギャラリーで、先端部は相模湾を望む展望台になっています。

この建物、名前が変わっていて「夏至光遥拝100mギャラリー」と言います。

この細長い建物の方向は夏至の太陽が昇る方向に合わせてあって、夏至の日には先端の展望台から日の出が見えるという仕掛けなんですね。

夏至の日でなくても、先端の展望台からはこのような眺望が楽しめます。

ちょうど良い天気だったので気持ちがよくて長居してしまいました。

冬至光遥拝隧道

夏至があれば冬至の仕掛けもあります。

100mギャラリーの地下には細いトンネルが掘ってあり、そのトンネルが冬至の日の出の方向に合わせてまっすぐ作ってあるので冬至の日にはトンネルの反対側から日の出を拝めるという仕組みです。

こちらは基本狭く真っ暗なトンネルなのですが、途中に室町時代に作られた井戸をたたえたちょっとした広場があります。

こちらも目玉施設なのですが写真は載せません。行ってからのお楽しみです!

ガラスの舞台

江之浦測候所の目玉施設といえば何と言ってもガラスの舞台を中心とした空間でしょう。

 

木組みの上に透明で長大なガラス板を何枚も敷き詰めて作られたガラスの舞台。

その横には茶色い歩道が空中に突き刺さるように伸びています。

舞台と歩道の向こうは相模湾まで真っ逆さまに下る急斜面。

そしてそれらを見下ろす古代ローマのような石造りの円形客席。

どこをとっても江之浦測候所にしかない、他では絶対に見られない光景です。

ガラスの舞台に乗ることはできませんが、空中に突き刺さる歩道は途中までは歩けます。

周りに一切柵がないのでちょっと怖いですが、小田原から真鶴まで相模湾を見渡すことができてまさに絶景です!

この空中歩道は江之浦測候所の中で1・2を争う人気スポットになっていて、ほとんど人が絶えません。

そして実はこの空中歩道、足元の下は先ほどの冬至光遥拝隧道の続きなのです!

すごく良く考えて作ってありますよね。。

石舞台

ガラスの舞台を見下ろす客席から後ろを振り向くと、石の舞台があります。

こちらは能舞台を想定して設計されていて、舞台に向かう石橋の向きは春分・秋分の日の出の向きに合わせてあるそうです。

周りには京都のお寺の庭園のように小石を敷き詰めて筋を付けてあり、能舞台的な演出に一役買っています。

その他の見どころ

江之浦測候所には他にもいろいろ見どころがあります。

あと一つだけ紹介しましょう。

これは「雨聴天」という茶室ですが、その門として古墳時代に端を発するといわれる鳥居の原型を模した石鳥居が組まれています。

「雨聴天」にもアッと驚く特徴があるのですが、それは実際に行ってからのお楽しみ。

おわりに(感想)

江之浦測候所には様々な施設がありますが、多くの施設は石材かガラスが主役となった建築です。当然、石の産地や風合いにはこだわり抜いて選ばれています。

そんな美術的なこだわりもある一方で、建築という視点で見た人類の歴史が一大テーマとなっていて、古代を思わせる施設から現代的な建築まで非常に多様な内容になっています。

それでいてとっ散らかった印象は一切なく、杉本さんの作風がよく表れた落ち着いた感じで統一されているため、非常に見ていて心が落ち着いてきます。

子供が入場できない理由は先ほどの空中歩道が危険だからもありますが、子供連れがいないことで落ち着いて見ることができている効果があると思います。

今回は良く晴れた日に行ったのでぼーっと風景を眺めたり敷地内を散歩したり、楽しむことができました。

が、雨の日にしか見られない楽しみを持つ施設もあるので、天候に恵まれなくてもがっかりすることはありません。

予約が必要だしちょっとお高いお値段のように見えますが、それだけのお金を払っていく価値は十分にあると思いました。ぶっちゃけ、たとえ興味なく訪れたとしても飽きません。

最後に、江之浦測候所では杉本さんが最もこだわり抜かれている写真のテーマと似た相模湾の水平線を存分に見ることができます。オマージュとして、私も水平線を撮ってモノクロ加工してみました。

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