春日大社千年の至宝@東京国立博物館平成館

美術

この記事は、2017年1月17日から2017年3月12日まで東京国立博物館の平成館で開催された春日大社千年の至宝展へ行ってきた際の紹介と感想です。

 

東京国立博物館

私は1月22日に行きましたが、この時が東京国立博物館は初めてでした。

というわけで、国立博物館に慣れた人から見れば「何をいまさら・・・」と思われそうなことも書くと思いますが、初心者の視点とはこういうもの、ととらえて頂けると幸いです。

東京国立博物館-トーハク-の公式サイトです。展示・催し物の情報や来館案内、名品ギャラリーなどをご覧いただけます。

東京国立博物館は上野公園の奥の方にあり、上野駅公園口から歩いて10分はかかります。

また、地図で見ると鶯谷駅から近いように見えますが、鶯谷駅からだと入り口に向かうのに遠回りしなければならないため、結局10分くらいかかります。

上野駅から行くと、このような大きな広場のような道を進むことになります。横断歩道の向こう側が東京国立博物館正門です。

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東京国立博物館には複数の建物があり、それぞれがかなり大きいです。

この写真で見えているのは本館ですが、今回の春日大社千年の至宝展は平成館という別の建物で展示されています。

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正門の横には現在開催されている主な展示会の大きな広告が出ています。

この時はもちろん春日大社千年の至宝展の紹介看板でした。 f:id:kurage0001:20170125203122j:image

 

東京国立博物館平成館へ行くには、正門から入って左奥の方へ歩いていきます。

平成館はこのような建物です。 f:id:kurage0001:20170125203135j:image

 

私が行った1月22日は日曜日で正午前後に見てきましたが、結構混んでいました。

その後5月に行った茶の湯展も週末の正午前後で結構混んでいましたので、ゆったりと観覧したいのであれば平日に行くか、休日なら9時半の開館と同時に駆け込むくらいの気合いが要求されます。

 

春日大社の由来

春日大社は奈良にある大きな神社で、古代[1]西暦768年の創設と伝えられています。から現在に至るまで続く藤原氏の氏神さまです。

まつられている主神たる氏神さまの御名は武甕槌命(たけみかづちのみこと)。元々は茨城の鹿島神宮の神様だったのですが、春日大社創設にあたって千葉の香取神宮・東大阪の枚岡神社の神様とあわせてまつられて今に至ります。

藤原氏といえば古代に貴族として栄華を極め、その後も公家・華族・旧華族として今に至るまで由緒正しくやんごとなき伝統を保ち続けていますよね。

そんな日本を代表する氏族の神さまなのですから、われわれ素人の目から見ても霊験あらたかな神様なのは確かだと思います。

 

さて、春日大社では伊勢神宮と同じように定期的に(20年に一度)社殿の建て替えや修繕が行われます。これを式年造替(しきねんぞうたい)といいます。

実は、去年(2016年)が第60回目の式年造替でした

この式年造替にあたって、普段は人目につかないところにしまわれている御神宝の数々が姿を現しました。

そんな20年に1度しか見ることのできない激レアなお宝の数々をできるだけ多くの方に見て頂く趣旨で東京国立博物館にて展示される運びとなったとのことです[2]奈良から東京まで運ぶだけでもものすごく大変そうですよね。

 

鹿が展示会の一大テーマ

まず最初に展示されていたのは鹿に関する展示品の数々でした。

春日神社には多くの鹿がいますが、これは武甕槌命こと氏神様が鹿島から奈良へ来られるときに馬の代わりに鹿に乗って来られたという言い伝えに基づくようです[3]ちなみに、鹿島神宮でも鹿がたくさん飼育されています。

ちなみに、あまり美術に興味のない子供向けなのか、鹿が図案に入った作品には解説板に鹿マークが付けられていて、鹿探しをして楽しめるように配慮されていました。

 

春日宮曼荼羅

次に印象に残ったのは、春日大社自体の風景を描いた、神社の案内図みたいな絵の数々です。

そんな神社の案内図みたいな絵がたくさん作られた理由は何なんでしょうか?

 

藤原氏は娘を天皇の后にして天皇の外祖父になることによって栄華を極めました。

このため、平安時代中期からは天皇家も春日大社へお参りするようになりました。

また、貴族ニアリーイコール藤原一族となっていったので、京都全体で春日の神様が崇められるようになったのです。

また、当時は京都から奈良まで牛車などで移動していたから片道14時間くらいかかったようで、簡単にお参りできない人も多くいました。

地方の国司として赴任したような貴族ならばなおさらでしょう。

このため、京都ほか遠方でも崇め奉ることができるように、春日大社や武甕槌命を始めとした神様たちの絵や像が作られました。

春日大社千年の至宝展の展示のかなりの部分は、そのような趣旨で作られた絵や像でした。

春日大社&神様の絵は春日宮曼荼羅と呼ばれ、神様が鹿に乗った絵は鹿島立神影図、鹿の絵は春日鹿曼荼羅と呼ばれます。

 

他にも多くの展示品が

また本来は日本の神様は姿が見えないものとされていたらしく、

じゃあ絵に描くにはどうすれば?と考えた結果、

そうだ!仏様の姿で書けばいんじゃね?というような思考で

神様に扮した菩薩の絵です!的な絵も多く制作されたらしく、たくさん展示されていました。

他にも神を守るために上納された武器防具の数々や鏡、仏舎利入れ、果ては神様用に大きく作られた貴族が持っている笏などおびただしい数の展示物が展示されていました。

全て神宝として大切に保管されてきたものなので、保存状態の良いものが多かったです。

ただ、何回か騒乱などに巻き込まれて火事に遭っており、黒ずんでいる展示物もありました。

また、毎年12月に開催される春日若宮おん祭で催される古典芸能の関係物(能面とか)の展示もすごく充実していました。

上古の芸能で今はほとんど残されていない「伎楽」の珍しい展示もありました。

 

おわりに

とにかく展示物の物量が多く、しかもどれもが重要な展示品揃いでした。

展示総数は250点で、そのうち国宝・重要文化財だけで100点以上もありました。

おまけに大作的な作品が多かったです。

このため、全部真剣に見るのに大変な体力を要しました[4]東京国立博物館平成館の展示会では往々にしてよくある事ですが。。

後から出品目録を見て気付きましたが、一度にすべての展示物が展示されているわけではなく、会期を6日間ごとに区切って展示物の中身を入れ替えていたようです。私が身に行った時には、上記の250点の一部しか展示されていないということですね。

あと、東京国立博物館平成館の展示会には音声ガイドサービスがあるのですが、毎度一流の有名人(春日大社千年の至宝展のときは豪華歌舞伎役者さん)に吹き込みを依頼しているためか、入場料とは別に520円も取られます。

有名人の方々にケチをつけるつもりは全くないのですが、私としては無名な学芸員の吹き込みでよいので無料にしてほしいと思います。

 

 

References

References
1 西暦768年の創設と伝えられています。
2 奈良から東京まで運ぶだけでもものすごく大変そうですよね。
3 ちなみに、鹿島神宮でも鹿がたくさん飼育されています。
4 東京国立博物館平成館の展示会では往々にしてよくある事ですが。。

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