ウェアラブルコンピューティングが最近トレンドになっていますが、中でもメガネ型ディスプレイ端末の利用方法についていくつかアイデアがあるので記事にしようと思います。
記事として明文化することによってウェアラブルコンピューティングについて自分の考えを深めたいですし、この記事を読んだ皆さんにもちょっとウェアラブル欲しいかも。。と思って頂けますと幸いです。
2011年のウェアラブル
2011年11月というから、5年以上前の話になります。
当時私はAR(Augmented Reality)に興味があり、ARで何ができるのかを考えてevernoteへメモしていました。
なぜ5年前にARについて考えていたのかというと、丁度EPSON Moverio BT-100が発売される時だったのです[1]今ではかなり小型化された三代目BT-300が発売されています。。
当時まだGoogle Glassは発表されておらず、セカイカメラブームが沈静化してきた所にBT-100が発表され、「次はメガネ型端末でARでしょ!」という機運がごく一部では醸成されていました。
というわけで、当時私がevernoteに書いたことそのままを引用形式で紹介したいと思います。
一つ一つの記述は短いので、いくつかまとめてこの記事一本で紹介します。
ARカラオケ
歌詞表示のみ
(背景映像も一応あり?)ヒトカラ口ずさみ
・歌覚え
・採点(分析機能)
・家事しながら
・風呂入りながら
5年前当時登場するかしないかで盛り上がっていたGoogle Glassのような端末を想定して、その画面にカラオケの歌詞を表示させることによって、大きな画面の方を見なくて済むようにしようというアイデアです。
当時は主に家事をしながら口ずさんでカラオケの唄を覚えてレパートリーを増やす用途を想定していました。
しかし家事の中で口ずさみに一番親和性の高い掃除がルンバやブラーバに取って代わられてしまい、人間がやる必要が無くなってしまったかもしれません。
むしろ、一人で使うより、みんなで盛り上がるカラオケの方がメガネ型端末によってカラオケを楽しめる要素が増えるのではないか?と思います。この点はまた別に記事にしていきたいと思います。
博物館・美術館の案内
博物館で配られる音声解説キット→手が痛い
想像図とかを出したり消したりできる
博物館や美術館の入り口でトランシーバ受信機のようなものを貸してもらえて、音声で展示物の解説を聴くというサービスがありますよね。
トランシーバではなくメガネ型端末を貸し出すことによって、音声だけでなく視覚での情報提供ができることと、トランシーバを耳にあてがうために片手をふさぐ必要がなくなるというのがこのアイデアの趣旨です。
これにより展示物の横の解説文に観覧者が群がらなくなりますし、観覧者にとっても通常暗い展示室の中で手元のパンフレットの代わりに光るディスプレイ画面を見ることができるという効果があります。
スマホへの配信でも同様なサービスはできますが、スマホだと画面が明るすぎて観覧のじゃまになる場合があります。
そこで、ARを使えば少しでも他のお客さんにとってノイズとなる光源を少なくすることができる。
また、もっと大きい効果として、展示品に重ね合わせて、その展示品が制作された当時の想像図や水路の位置など有用な付加情報を表示したりする事もできるようになります。
これは今でもサービス提供できるものならして欲しいものです。美術館・博物館に常備して貸し出せば人気を博すと思います。
まだ今のところAR用ディスプレイの画素数が美術品の必要とする精細さに追いついていないと思われる点がネックですが、画素の精細化技術は日進月歩です。
まずは文字での解説表示から始めて、技術の進歩を待てばいいと思います。
AR PUSH広告・公共案内サービス
「洋食屋」をあらかじめ指定しておいて歩けば、洋食屋の広告や口コミ(タグ)が表示される
Google Glassのようなウェアラブルディスプレイを装着して街中を歩けば、自分があらかじめ指定しておいたカテゴリの店の近くを通るときにセカイカメラのようなタグが表示されて、お店の位置が分かりやすくなるというサービスです[2] … Continue reading。
お店にとっても必要としている人にだけ広告を出すことができますし、広告の内容を相手や状況によって変化させることもできます[3]例えば在庫切れになったら自動で広告を消すとか。。
みんながARメガネを装着して歩く電脳メガネのような世の中になれば、そもそも物理的な広告や案内板の類を掲示する必要がなくなります。
街中から物理的な広告や案内板というものを消してしまえば、日本も西洋のように街の美観がきれいになるのではないでしょうか。
なかなか便利だと思いますが、なんとなく「目の前が広告だらけで見えなくなってしまう世の中」になってしまうような気もして、ちょっと怖いですね。
やはり腕時計に通知してくれるくらいが一番適度なのでしょうか。
お店の広告の配信はともかくとして、駅の乗り換えや出口の案内表示とかトイレはどこにあるのかなど、公共施設の位置をユーザーのリクエストに応じて表示するハンズフリーの案内サービスというのはものすごくニーズが高いと思います。
Google Glassのようなウェアラブルディスプレイで公共施設の位置や案内を表示するサービスは既存の技術でも実現可能です。
言語の選択もユーザーのニーズに合わせて自由自在です。
これこそ東京オリンピックのおもてなしの要にするべきだと筆者は思います。
ウェアラブルディスプレイにカメラは要らない
以上のアイデアを見て、何か気付いたことはないでしょうか?
そう、上記のアイデアを実現するには、ウェアラブルディスプレイにカメラを装備する必要はないのです。
ある程度精細な位置情報と、モーションセンサだけで実現可能です。
屋内の位置情報もWi-Fiを使えばかなり正確に把握できるでしょうし、最近は屋内でもGPS測位と同様に位置情報を把握できる技術が開発されているそうです。
Google Glassはカメラをメガネに装備することになぜかこだわってしまったために、プライバシーガー!という糾弾を受けて潰されてしまいました。実に嘆かわしいことです。
プライバシーの問題は確かにあるし、配慮すべきです。
ならばプライバシーを損なうような機能をハードウェアに装備せず、他の機能で代替すればよいだけの話ではないでしょうか。
Google Glassの世の中への展開の失敗っぷりについては、Googleは本当に頭悪いと思わざるを得ませんでした。
おわりに
以上、ARというかメガネ型ウェアラブル端末の用途について私の妄想を3つほど紹介しました。
最初に考えた時から5年ほど経ちましたが、腕時計型デバイスだけでなく自動掃除ロボットという当時想像だにしてなかった伏兵のおかげで眼鏡型端末の必要性が薄れている部分があるなど、なかなか感慨深かったです。
References
↑1 | 今ではかなり小型化された三代目BT-300が発売されています。 |
---|---|
↑2 | ていうかこれってセカイカメラとtabとTelapathyの融合ですよね。なぜ次のサービスを手掛ける時に以前手掛けていたサービスを打ち捨ててしまうのでしょうか。一緒くたにして展開すれば世界が変わっていたかもしれないのに、本当にもったいなさすぎだと思いました。 |
↑3 | 例えば在庫切れになったら自動で広告を消すとか。 |