12月、年の暮れも押し詰まった頃。良く晴れた日に、茨城へドライブに行くことにしました。
目的は2つあります。
- 石岡名物しし鍋をいただく
- 大晦日の晩飯用にそばを買う
茨城県の冬の味覚としては海の幸代表のあんこう鍋がガルパン効果で超有名になりましたが、対する山の幸代表として筑波山の東のふもと石岡市(旧八郷町)にイノシシ肉を使った鍋、しし鍋があるのです。
この記事では石岡のしし鍋を気軽に食べられるスポットと、ドライブの途中で見かけた名所について紹介します。
小町の館
旧八郷町へ行くには、土浦北インターからフルーツラインと言われる見通しのよい道路を北上します[1]「フルーツライン 筑波」でGoogle検索すると通行止めされているとの記事が最初に出てきますが、土浦-八郷間のことではないので無視してOKです。。
数年前に朝日トンネルという大規模なトンネルが開通して、大変便利になりました。
土浦から見て朝日トンネルの手前に、小野小町にちなんだ「小町の館」という土浦市営のイベント施設があるので、訪れてみました。
筑波山麓の綺麗な空気で澄み渡る青空に、昔ながらの水車小屋が映えます。
昔ながらの郵便ポストもありました。
売店では農産物を売っているようですが、残念ながら私が行ったときは年末年始でお休みでした。
周辺にはこのような農村風景が広がっています。都会の喧騒を忘れることができました。
ちなみに小町の館が「小町」を名乗っている理由は小野小町の墓と伝えられている墓があるからなのですが、小野小町の墓と伝えられている墓は北は秋田県から南は山口県まで、全国各地にあるそうですよ。
どの墓がほんとうの小野小町の墓なのか、それとも全部架空の伝説なのか、そんなことを考えるのは野暮ってものですよね。
ここは昔ながらの農村風景を眺めながら平安時代の昔に思いをはせて、しばし悠久の時の流れを体感しましょう!
たまたま中学校の子供の冬休みの宿題に「百人一首を何首か覚えること」というのがあったので、この記事に関連する句を二首ほど挙げてみました。
つくばねの 峰よりおつる みなの川
恋ぞつもりて 淵となりぬる
陽成院
花の色は うつりにけりな いたづらに
わが身よにふる ながめせしまに
小野小町
前者は若者の恋の歌、後者は大人の歌という感じですね。
「院」とは退位した天皇の事です。陽成(ようぜい)天皇は平安時代の天皇の一人ですが、17歳の若さで退位したそうです[2]80歳を超えても退位させてもらえない今上天皇との差が時代を感じさせます。。。
とは言っても超早いセミリタイヤではありません。
当時世の中を牛耳っていたのは藤原氏の大臣たちで、陽成天皇はある大臣と折り合いが悪く退位させられたようなのです。
昔は権力者に歯向かうような姿勢を見せるとあっという間に命を取られかねなかったので、退位した陽成天皇としては色恋に夢中なんです!というアピールでもしないと生き延びられなかったのでしょう。それが退位した天皇が色恋の歌を歌った背景なのだと思われます。
しかしその後、陽成院は退位させた大臣たちよりもずっと長生きできたそうですよ。
こういう歴史エピソードって、なんだかちょっとホッとしますよね。
小町の館へは、TXつくば駅からバスが出ています。(期間限定なので下記リンク先を確認お願いします)
国民宿舎つくばね
さて、小町の館を後にして朝日トンネルを抜けて旧八郷町へ向かいます。
石岡市にはしし鍋を食べさせる店は多くあるのですが、ほとんどの店が「2人前以上で用意します」とのこと。。
世の中はぼっちに厳しいですよね。。
そんな中、国民宿舎つくばねの食堂では「しし鍋定食」という一人でも注文できるメニューを用意しているとのことです!
しかも宿泊施設がメインだから、年末年始も営業しているようです。
さすが公営宿舎、弱者(ここでは年末ぼっちのこと)に優しいですね!
国民宿舎つくばねは筑波山東側中腹の、ギアをローに入れて丁度良いレベルの急坂をかなり登った先にありました。
早速食堂に入り、オーダーします。
まだ11時過ぎで、客は筆者以外には誰もいません。
待つ事十数分、しし鍋定食が運ばれてきました!
横にある烏龍茶は国民宿舎つくばね十周年記念特別サービスで無料でついてきたものです。
煮物の小鉢が二つあります。
一つはいわゆる筑前煮で、霞ヶ浦名物レンコンなどが入った根菜類が中心でした。私が訪れた時間が早かったからか、温かい状態で出てきました。やや薄味でよく煮込まれており、美味しいです。
もう一つの小鉢はおそらくカンピョウと山菜とこんにゃくと揚げの煮物です。カンピョウと山菜の歯応えが楽しめます。こちらも美味でした。
小鉢を楽しむ間に、メインのしし鍋が煮えてきました。
味付けは味噌です。
猪肉を食べるのは生まれて初めてでしたが、身が引き締まった豚肉という感じです。
春菊が風味のアクセントになっていて、臭みは感じませんでした。他の具は普通の鍋と同様、白菜ときのこ類です。
寒い冬の訪問でしたが、しし鍋を食べると体が本当に温まります。おそらくしし鍋の一番の良さはこの温熱効果だと思いますが、それは十二分に堪能できました。
国民宿舎つくばねの食堂からは、石岡市方面の眺めが一望できます。非常に良い眺望なので一見の価値ありですよ!写真を撮ったのですが実際に行ってみていただきたいので、UPしないでおきます。
フロントでおみやげ物を売っていますがその中にそばがありましたので、これを年越しそばにすることにしました。
おわりに
国民宿舎つくばねのしし鍋定食は、少なくとも私のようなぼっちにもしし鍋を食べさせてくれるというだけでもう百点満点です!値段は1,550円。安いと思いました。
この国民宿舎つくばねでは日帰り入浴もできますが16時からなので、昼食で来た場合はすぐには入れません。
日帰り入浴施設としては、近くにやさと温泉ゆりの郷という大きな施設があります[3]このゆりの郷へは、TXつくば駅~小町の館へのバスが通じています。ので、こちらの方が良いかもしれません。
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