東京都心から電車一本で片道1000円以内で車を使わずに行けて、
都会の喧騒を完全に忘れられるような田舎で、
目いっぱい森林浴ができる大きな公園があって、
悠久の歴史ロマンを感じさせる史跡があって、
歩き疲れたらゆっくり温泉に入って美味しいものを食べられて、
でも休日も人でごった返してなくて静かな所ってないかな?
そんな夢のような所があるんです。
それは成田線下総松崎駅付近。
この記事は下総松崎駅付近の観光ガイドです!
アクセス
下総松崎駅は上野から常磐線快速電車で我孫子まで行き、我孫子から成田線へ乗り換えて、終点成田駅の一つ手前の駅になります。
成田線は1時間に2本程度ですが、上野から直通の電車が比較的多いため、事前に時間を調べておけば上野から乗り換えなしでかんたんに下総松崎まで行くことができます。
また、実は成田市内なので成田駅からだとひと駅ですし、成田空港からもレンタカーやタクシーを使えば10分くらいで行くことができます。
下総松崎駅
上野駅から電車に揺られて約1時間15分。
下総松崎駅に降り立つと、辺りには20世紀に忘れてきたような古き良き里山の田舎風景が広がっています。
松崎はまつざきではなく、まんざきと読みます。
駅員さんは居ますが、駅舎にも駅前にもコンビニ一軒すらありません。
私は天気の良い5月の休日の昼下がりに下総松崎駅を降りて辺りを歩いてみましたが、電車から数名の人が下りて行ったほかには道を歩く人の姿はほとんど見掛けませんでした。
山崎パン系のヤマザキショップはコンビニチェーンの中では潰れにくいことで有名ですが、そのヤマザキショップも潰れてしまう田舎っぷりです。
ただし民家の庭には手入れをしている人の姿がちょくちょく見受けられるなど、人が全くいないわけではありません。
坂田が池総合公園
下総松崎駅から徒歩15分ほどで、坂田が池総合公園という大きな自然公園へ行くことができます。
「坂田が池」と名前が付いているだけに公園の中心は大きな池で、池の真ん中に大きな浮き橋があって自由に歩くことができます。この写真は浮き橋の途中に立って写したものです。
浮き橋の途中には下の写真のようなベンチもあり、池の風景をゆっくりと楽しむことができます。池の中には大きな鯉がたくさん泳いでいました。
もちろん駐車場も整備されていて休日はそれなりに家族連れなどが来ていますが、混雑しているという印象はありません。
私は池の風景を堪能しましたが、この公園には他にキャンプ場や大きな芝生広場、遊具などもあるようです。
房総風土記の丘
坂田が池総合公園に隣接して、房総風土記の丘というもう一つ大きな公園があります。
実はこの辺りには非常に多くの古墳群が残されており、風土記の丘はそれらの古墳群やその他の歴史的な建築物の保存、紹介のために作られた公園です。
古墳群
房総風土記の丘は広大な敷地を持っているのですが、歩いていると至るところに古墳があります。
この写真は中でも最大の101号古墳です。他の古墳は大きな盛り土の前に古墳であることを示す看板が立っているだけなのですが、この古墳はより整備されていて、周りに埴輪などが飾られており当時の様相をしのばせてくれます。
風土記の丘資料館
千葉県内各地の遺跡から出土した考古資料を展示してあります。
大人300円と有料ですが、後述する房総のむらと共通で入れるので結構お得だと思います。
歴史的建築物・房総のむら
房総風土記の丘の敷地には古墳だけでなく、色々な時代の歴史的価値ある建物を移設して保存してあります。
例えば、下の写真は学習院初等部校舎。周辺の芝生がよく手入れされており、周りの自然の風景や天気の良い青空に映えてとても良い眺めでした。
私は無料で見ることのできる学習院校舎しか見てきませんでしたが、他にも江戸時代の商家・武家・農家を再現した街並み(房総のむら)を見ることができます。(有料)
森林浴
房総風土記の丘のメインコンテンツは古墳と房総のむらであるようですが、私が訪れて一番印象に残ったのは敷地の大半を占める広大な森林の風景でした。
とにかく森林にめっちゃ癒されます!
普通日本の山へ森林浴に行くと比較的針葉樹が多いのですが、ここの森は広葉樹中心で、それだけに木々が生えている密度も密集しておらず、地面にもびっしり草が生えていて緑を多く感じることができます。
そんな緑いっぱいの森林浴ができる割には道が整備されていて歩きやすいので、緑をいっぱいに感じたい人には超おすすめです。
龍角寺
房総風土記の丘からさらに20分くらい足を伸ばすと、龍角寺という古刹へ行くことができます。
このお寺は今でこそ小じんまりとしたたたずまいですが、実は7世紀に建立された、関東最古のお寺なのです!
今では現地では建物の基礎の跡しか見ることができません[1]本尊の仏像は重要文化財で、町役場に予約しないと見られないようです。が、7世紀当時は三重の塔や金堂・伽藍といった本格的な様式を備えた日本最先端の建築の一つだったのです。
7世紀は飛鳥時代と呼ばれ、近畿では大化の改新があって権力が蘇我氏から天皇家・藤原氏へ移りましたが、どの権力者も当時西方から伝来した仏教をいち早く取り入れて信仰していました。
同じ時代に、関東地方にも飛鳥地方と同様の大きなお寺を建てるだけの権力者がいたのです。
中国の昔の歴史書「梁書」に「扶桑(ふそう)国」という遥か東方の果てにある国に関する記載が出てきます。一方で、下総・上総の語源となっている「ふさのくに」[2]上野から成田線で下総松崎へ来る途中に、そのものズバリ「ふさ(布佐)」という駅があります。。
梁書には、5世紀半ばにガンダーラから扶桑国へ僧がやってきて仏法がもたらされたと明記されています。
私は、扶桑国はここにあったのだろうと思いました。
ちなみに下の写真は、日照り続きでも枯れず雨が続いても溢れることのない不思議な泉が真ん中に空いている穴に湧いていたと伝えられる「不増不滅の石」です。
大和の湯
上に書いたスポットを全部回ると相当(少なくとも10km以上)歩くことになります。
歩き疲れて汗をかいたら、坂田が池総合公園の近くにある成田温泉大和の湯という日帰り温泉施設へ入ればゆっくりと疲れをいやすことができます。
交通の不便さのためか休日でもあまり混んでおらず、超おすすめの癒しスポットです。
また大和の湯の食事処は寿司セットや御膳メニューをほぼ全メニュー千円ちょっとで味わえるというリーズナブルさに加えて、結構おいしく、おまけにちょっと食事時を外せば休日でも人がほとんどいません。
大和の湯は下総松崎駅から徒歩15分程度。一日のんびりしてもよい位ののどかさです。
詳細はこの記事に書きましたのでぜひご覧ください!
おわりに
東京都心から近郊電車一本で行ける中では屈指のマイナー駅、下総松崎駅。
上野からSuicaを使えば片道918円で行ける割には都会や近郊を感じさせる景色は無く、日本の田舎の風景がただ広がっており、人影はほとんど見かけません。
その割には少し歩けば大きな公園や悠久の歴史ロマン、温泉にリーズナブルなグルメまで楽しめるお得なスポットがあり、天気の良い休日にふらっと出かけるには最高の気分転換スポットだと思いました。