この記事では初心者でも簡単にたくさん魚が釣れる方法を説明します。サビキ釣りと呼ばれる主に堤防で行われる釣り方です。
サビキ釣りの魅力
釣りの方法にはいろいろあり、釣り方を並べ挙げるだけでもものすごい情報量になるほどです。
その中でもサビキ釣りはもっとも簡単で、釣りをしたことがない女性や子供でも簡単に大漁気分を味わうことができます。
まず第一に魚と人間の駆け引きの要素がほとんどなく、「魚がかかること」と「魚を釣り上げられること」がほぼイコールです。他の釣り方だとどうしてもタイミングを合わせて竿を引き上げる技能が必要になり、せっかく魚がかかったのに釣れない。。ということが起こり、それを減らすためにある程度の経験や俊敏さが要求されるのです。
また、仕掛けを海に落とすだけですし、狙う魚のサイズも最大30cmくらいと小さいので竿さばきや投げ釣りといった技能や体力が全く要りません。
東京周辺のサビキ釣りで釣れる魚
東京周辺のサビキ釣りで釣っておいしい魚たちを紹介します。
イワシ
サビキ釣りの一番のメインターゲットは何といってもイワシです。
とにかく多数の群れで行動しているので、群れに当たれば一度に5~6匹釣りあげられることもざらにあります。
一方、体長10cm~20cmくらいと小さいので小学校低学年のお子さんでも大量に釣り上げても持ち上げられます。
もちろんフライ・煮つけ・すり身などどんな食べ方をしても美味しいです。
サバ
サバは大きくなると多少沖合に出てしまいますが、小さい個体の群れは堤防際まで来るので恰好のサビキ釣りターゲットになります。
ただしイワシより大きい分だけ力が強く俊敏なので、仕掛けにかかった時に逃げ回ろうとして仕掛け全体に体が絡まることがあり、絡まってしまうとちょっと厄介です。
もちろんサバもアニサキスに気を付ければ塩焼きなど美味しくいただけます。
アジ
アジは東京近辺では釣れるところが限られますが、釣れる場所にタイミングを合わせていけばサビキ釣りで大量に釣ることができます。
アジがアジと呼ばれるのは「味の美味しい魚」という説があるほどで、アジフライをはじめとして「なめろう」など生でもおいしくいただける魚です。
サッパ(ママカリ)
東京近辺でイワシの次に大量にかかるのがサッパと呼ばれる小魚です。
関東ではアジサバの方が釣果として喜ばれる傾向にあると思いますが、西日本では「ままかり(ごはんを借りてきたくなるほどの魚)」と呼ばれて非常においしい魚とされています。
特に甘酢漬けにしたものが美味しいです。酢漬けは1週間くらい日持ちしますので、大量に持って帰ってももったいなさもありません。
ネンブツダイ
場所によっては、このような小さいピンク色の魚がたくさんかかることがあります。
この魚はネンブツダイと呼ばれ、まあぶっちゃけ普通あまり喜ばれる釣果ではありません。
が、このネンブツダイ、2度素揚げして塩を付けて食べるとお酒のつまみにちょうどいいのです。
イワシなどを狙って釣りに行ってネンブツダイしか釣れなくても、おいしく食べられるのでがっかりしなくていいですよ!
ちなみに私はこういうフライヤーで2度揚げしています。油を使う量を少なくすることができて便利ですよ!
サビキ釣りで結果を残すための必要条件
そんな超簡単においしい魚がたくさん釣れるサビキ釣りにも「これを守らないと釣れない」というセオリーは結構色々あります。
まずは1.季節 2.時刻 3.場所。
この3つのセオリーをどれか一つでも外してしまうと魚の群れに巡り合うことはほとんどできず、結局一匹も釣れない悲しい釣りになってしまいます。
季節
東京周辺でサビキ釣りで魚を釣ることができる季節は、だいたい6月から11月くらいまでです。
冬や春は、サビキ釣りをしてもほとんど釣れません。
他の季節は海水温が低すぎて、サビキ釣りのターゲットになるような魚は関東近海にいないのです。
よく勘違いするのは春からゴールデンウィークにかけてです。気温が暖かい季節になっても、海水温が上がる季節は気温が上がる季節よりも数か月遅れるので、4から5月はまだ水が冷たいのです。
逆に秋は海水温が気温と比べて下がらないので、絶好の釣りシーズンですよ!
時刻
魚が釣れる時間帯は日の出前後の数時間と、日の入り前後の数時間だけです。
真昼間に釣っても、ほとんど釣れません。
真昼間に釣りをしている人は、実は朝からの惰性で釣り場に残っているか夕方に釣るための場所取りのいずれかなのです。
人間が朝昼晩のだいたい決まった時間にご飯を食べるのと同じように、魚は日の出前後と日の入り前後にエサを食べるのです。
日の出前後の魚が釣れる時間を「朝まずめ」、日の入り前後の魚が釣れる時間を「夕まずめ」と呼びます。
場所
いくらサビキ釣りが簡単でも、秋の朝夕にその辺の海に行って仕掛けを落としても必ず釣れるわけではありません。
サビキ釣りのターゲットになる魚は群れで行動していますが、群れの行動範囲がだいたい決まっているため、範囲内にある場所でないと釣れないのです。
魚の群れはエサを探して行動しますが、多くの釣り人がいる釣り場では釣りエサが投入されるのでそれを目指して群れがやってくる。。という構造です。
この記事の後半で東京周辺のおすすめの釣り場所を紹介します。
おすすめの仕掛け「トリックサビキ」
トリックサビキの特長
釣りをするには釣りざおや釣り針などの「仕掛け[1]釣り用語では「タックル」とも呼びます。」が必要です。
釣り道具屋さんへ行くと初心者向けに「サビキ釣りセット」などと称して一通りの仕掛けセットが売られていますが、この記事ではそんな普通のサビキ釣りの2倍は釣れる仕掛けを紹介します。
それは「トリックサビキ」と呼ばれる仕掛けです。
簡単に言うと、普通のサビキ釣りは釣り針が疑似エサなのですが、トリックサビキは釣り針に本物のエサを付けるのでたくさん釣ることができるのです。
サビキ釣りのターゲットとなる魚のエサはアミエビ(体長1cmくらいの小さいエビ)です。
普通のサビキ釣りの仕組みはこんな感じです。
- アミエビを長さ数cmのカゴに詰め詰めして海中へ放り込む。
- 竿を振ってかごを上下動させて中に入っているアミエビを海中へ放出する。
- 寄ってきた魚が、アミエビに似せたピンク色のビニールが付いた釣り針に誤ってパクつく。
要するに、魚がピンク色のビニールをアミエビと誤認することを前提とした釣り方なのです。
一方、トリックサビキの仕組みはこんな感じです。
- (必要に応じて)少量のアミエビを海中に放り込む。
- エサ付け器を使って本物のアミエビを釣り針に付けてから海中へ放り込む。
- 竿を使って1.のアミエビと2.の針付きアミエビを同じ位置になるように調節すれば、針付きアミエビにも魚がパクついてくる。
どうですか?こちらの方が魚がたくさんかかってくれると思いませんか?
魚の方は命がかかってるので、ピンク色のビニールとアミエビの区別なんてDNAレベルで付けられる魚も今や相当数いると思います。
そこへ行くとトリックサビキはあくまで本物のアミエビがエサなのです。
また、普通のサビキ釣りは仕掛けを海中に放り込む度にエサをカゴに詰め詰めするのでエサの消費スピードが速くなってしまいますが、トリックサビキでは一本の針に1~2匹のアミエビがついていればよいので、エサの消費効率が良いです。
トリックサビキのデメリットとしてはエサ付け器が必要になることと、エサを付けるために多少のスペースが必要になることくらいです。
トリックサビキ仕掛けに必要な道具
ここで挙げる釣り道具は、いずれもトリックサビキ釣りに不可欠なものです。
どれか一つ欠けても釣りを楽しむことはできないとお考え下さい。
釣り竿
釣り竿は普通のサビキ釣り用の釣り竿でかまいません。
小さいお子さんなら短い竿の方が扱いやすいと思います。
また、サビキ釣りであれば魚との繊細な駆け引きは不要なので、ある程度竿が硬くてもかまいません。よっぽどの大物用の船釣り竿でなければ使えると思います。
そう考えていくと、個人的にサビキ釣りでおすすめしたい釣り竿は持ち運びしやすく短くたためる竿です。
竿によっては50cm以下まで短くたためるものもあり、電車やバスで釣りに行く際に大変便利です。
リール
リールは海に垂らす釣り糸の長さを調節するための道具です。
トリックサビキはリールなしでも楽しむことはできますが、特に短めの竿を使うのであればリールがある方が良いです。
仕掛けを足元に落として深さを操るだけなので、普通の安いリールでかまいません。
ただ、海外製の超安物のリールは本当にあっという間に壊れてしまいますので、ダイワやシマノといった日本の確かなメーカーのものが良いと思います。
初心者の方は、下のようにあらかじめ糸が巻かれているタイプのものにしましょう。
トリック仕掛け・おもり
一般的に「トリック仕掛け」というと5~8個くらいの針を釣り糸でつないだものになります。
針をつないでいる釣り糸の片側はリールの釣り糸に接続し、もう片方は錘(おもり)に接続します。
おもりがないと海に落としても海面に漂ってしまって海中に落ちてくれないので、おもりも釣り針と同様に必須装備になります。
針の大きさにいくつか種類がありますが、東京近海であれば3号~5号くらいが良いと思います。
おもりは軽めのもの(1.5~3号)が良いです。軽すぎて波に流されるようなら2個付けすればよいからです。
このようにおもりとセットとなっている仕掛けもありますので、おもりを付けるのにも慣れていない初心者の方はこちらを使うとよいかもしれません。
注意点としては、仕掛けやおもりはとにかく失くしてしまうことが避けられないのでたくさん用意しておくことです。
仕掛けやおもりのストックが切れてしまうと、釣りたくても釣りを続けることができなくなってしまいます。
エサ付け器
トリック仕掛けの「キモ」はエサ付け器です。
エサ付け器とは下の図のようなもので、あらかじめ器の中にアミエビを入れておいて、仕掛けを海に入れる前に器に針を通してアミエビを針にこすりつけます。
「スピードバケツ」と呼ばれるバケツと一体になったタイプのエサ付け器もあり、手洗いやエサの解凍(アミエビは冷凍ブロックの形で売られていることがほとんどなのです)に便利です。
ビニールバケツ
釣りの宿命としてエサや魚を積極的に手で触らざるを得ないので、手がべたべたになります。
一方、釣り竿やリールにべたべたの手で触るとすぐに錆びたり動きが悪くなってしまうので、こまめに手を洗う必要が生じます。
しかし海には水道はありません。
ではどうするか?
釣り場に来たらまず初めにロープのついたビニールバケツを海にほり込んで海水を汲んでおき、このバケツの海水で手を洗うのです。
そんなわけで、海釣りにはこのようなロープ付きバケツが必須なのです。
クーラーボックス
魚は鮮度が命です!
魚を保存して持ち帰るためには、このようなクーラーボックスに氷を入れて釣り場へ臨み、釣った魚(特にサバ)はすぐに息の根を止めて低温で鮮度を保たなければいけません。
氷は釣具店・海釣り公園の売店のほかコンビニで売っているウイスキー用のロックアイスでもよいので現場調達しやすいですが、クーラーボックスはあらかじめ用意しておくことをおすすめします。
エサ
エサとなるアミエビは冷凍ブロックの形で釣具店や海釣り公園の売店に売られていますが、下のような保存できる塩漬けタイプのものも売られています。
トリックサビキは比較的少量のエサでも楽しめるので、あらかじめこのような保存できるエサを買っておいて持って行けば現場で釣具店を探す手間を省いたり、海釣り公園で釣りを始めるまでに要する時間を短くすることができます。
アミエビもエビなので臭いは避けられないのですが、最近になって(人にとって)良い香りを付けたタイプの保存のきくエサ、その名も「アミ姫」が発売されました。
これなら魚臭さに拒否反応のある方も釣りを楽しめるのではないかと思います[2]実はこの記事を書いたきっかけはこのエサが売れているというWeb記事を見たことです。。
ハサミ
当たり前ですが、釣り糸は、魚と釣り人が思い切り引っ張りあっても切れないように強く作られています。
しかし現実には釣り糸が絡まってしまうことが非常に多くあり、絡まってしまった時には糸を切って予備の仕掛けをセッティングすることとなります。
この時に糸を切ることができるハサミがないと詰みます。絡まった糸を除去できないため、釣りを続けることができなくなってしまうのです。
ライト
前述のように釣りに適した時間帯は夜明け前後や日の入り前後であるため、暗い中で釣りをするシチュエーションになることは非常に多いです。
特に朝狙いで行くと日の出前の暗い中で細い釣り糸に仕掛けを付けたりしなければならないため、照明器具は必須です。
ただし最悪スマホのライトでもなんとかなるので忘れてきても釣りが全くできないわけではありませんが、下のように両手を空けられるタイプのヘッドライトがあれば非常に便利です。
小学生でもわかるトリックサビキの釣り方
上記の道具をそろえたら、いざ釣りへGO!です。
具体的な手順を紹介しますね。
1.釣り場に着いたらまずバケツで水をくむ
2.エサをエサ付け器に開けて入れておく
3.氷をクーラーボックスに入れておく
4.竿にリールを装着し、リールに巻かれている糸を出してガイドに通す
下のリンク先で「スピニングリール&竿のセット」以降を見てイメージをつかんでください。
5.リールに巻かれている糸の先を結んで輪っかを作る
8の字結びとかチチワ結びとか呼ばれていますが、要は糸の先端を折り返しておいてその折り返した二重の糸をまとめて固結びすれば、頑丈な輪っかができるということです。
6.トリック仕掛け(釣り針)を2.で作った輪っかに接続する
トリック仕掛けの両端には安全ピンのような金具がついていますので、片っぽの安全ピンをいったん外して輪っかに接続し、また安全ピンを留めます。
安全ピンなので簡単です。小学生でもできます。
7.トリック仕掛けのもう片方をおもりに接続する
6.と同じ要領で、もう片方の端の安全ピンにおもりを付けます。
8.おもりを海に投げ込んで、竿を伸ばす
7.までが終わると仕掛け全体が一体になるので、釣り針やおもりを海に投げ込んでも竿とリールで存分にコントロールできるようになります。
が、まだ竿を伸ばしていない状態なので、竿の長さ以上に糸を引き出しておいてから竿の継ぎ目を伸ばして本来の長さにします。
9.リールを巻いて仕掛けを海からいったん引き揚げる
10.エサ付け器を使って、釣り針にエサを付け付けする
11.再び仕掛けを海に放り込むと、魚の群れが来ていればエサに食いついてきて竿がブルブルする
12.リールを巻いて竿を立てれば魚が針に引っかかっているので、魚を釣り針から外してクーラーボックスへ入れる
13.あとはエサがなくなるまで10.~12.を繰り返します。
すぐ慣れることができますし、一度慣れたらあとは簡単です。
思う存分大漁気分を楽しんでくださいね!
東京周辺おすすめ釣り場
ぶっちゃけると海釣り公園が最良の釣り場なのですが、一口に海釣り公園といってもサビキ釣りに適したところばかりではなく、サビキ釣りには適していないところもあります。
この記事ではサビキ釣りに適した海釣り公園と、ほかにも超有名なサビキに適した釣り場をいくつか紹介します!
本牧海釣り施設
横浜市にある海釣り公園で、横浜駅や桜木町駅からバスで行くことができます。
ここは春先の超低水温期でなければイワシがいつも釣れる首都圏では大変貴重な釣り場で、休日はいつも大賑わいで大変混雑しています。
朝は混みすぎていて初心者には釣り場を確保できないので、夕方狙いがおすすめです。
上のリンク先の「釣果情報」でイワシの釣れ具合を確認して臨めば、ほぼ確実にイワシをゲットすることができますよ。
市原市海釣り施設
千葉県の代表的な海釣り施設がこの市原海釣り施設です。
ここもイワシが良く釣れるほか、季節によってはサッパ(ママカリ)が良く釣れます。
ここの弱点は公共交通機関がないことです。自家用車がなければ、タクシーかカーシェアを使うことになります。
ただし本牧のように駐車場に入れないような混雑になることはないので、安心して車を出せると思います。
海辺つり公園
横須賀市営の釣り施設、海辺釣り公園。
ここは交通の便が良く、京急堀ノ内駅から歩いて15分くらいで行くことができます。
また、公園の隣に大きな釣具店(ポイント)があるので、エサや氷などの調達も大変楽です。
近辺にはドンキやかっぱ寿司など商店も充実していて、釣りのついでに買い物もできます。
おまけに上記の海釣り公園と違って入場無料です。
このように釣り人にとって良いことづくめなので、大変混雑します。
秋の朝まずめには沖合にいる大型のサバを大きな投げ竿で狙う「カゴ釣り」の釣り人でごった返します。
サビキ釣りはカゴ釣りと狙う範囲が違うのでカゴ釣りの客とトラブルになることはあまり多くないとは思いますが、秋の休日の午前中に釣り場所を確保するのは大変難しいのは確かだと思います。
夕方狙いであれば多少場所が空きますので、夕まずめを狙ってみましょう。
三崎港
三崎港は魚の群れが多く集まってくる良質な漁港で、京急三崎口駅から頻度の多いバスで15分程度で行けるため交通の便も良いです。
おまけに港近辺には「うらり」と呼ばれる観光客向けの海鮮市場や、マグロをはじめとしたおいしい魚介類が食べられる飲食店が多くありますので、釣り以外だけでも楽しめると思います。
サビキ釣りであれば、「うらり」の周辺の海に仕掛けを垂らせば十分釣果が期待できます。
秋の夕方には丸々太った大量のマイワシの群れがやってきて大フィーバーになることも多く、楽しめますよ!
また「うらり」の周辺にはネンブツダイが居着いていて、いつでもサビキで釣ることができます。
ただしここは海釣り用の施設ではなく「普通の堤防」なので、転落を防ぐ手立てがありません。必ずフローティングベスト(ライフジャケット。日本語で言うと救命胴衣)を持参してください。お子さんの分も必ず買って、着せてあげてください。
おわりに
以上、東京近辺で釣りを楽しむための基礎知識を紹介しました!
基礎知識といってもここに書いたことを実行すればほぼ確実に食べられる魚を釣ることができると思いますので、秋のレジャーにぜひご活用ください!!