この記事では品川区大井の東京浴場を紹介します。
東京浴場という銭湯は品川区内に二つあります。
西小山の東京浴場と、大井の東京浴場です。
そんなわけで、「品川区の東京浴場」だけでは特定できないのです。
大井の東京浴場は大井町駅から歩いて10分足らずの光学通り沿いにあります。
この光学通り、大井町駅付近からニコンの大井製作所を通り西大井駅に至る通りであることが名称の由来です。
光学通り、、名前として「知る人ぞ知る」感が適度に醸し出されていて私は好きです。
東京浴場|品川浴場組合|(品川区公衆浴場商業協同組合)は品川区内の銭湯が組合員となり運営している協同組合です。
大井町駅からニコンや西大井駅に向かって歩くと、東京浴場は大変立派な建物として目に飛び込んで来ます。
隣の建物が無く空き地であるからという要因もありますが、東京らしい宮造りの銭湯であるだけでなくどこかワンランク上の風格を感じさせる、気高い雰囲気を醸し出す建物です。
昔の文豪や書生が通っていたような気がする、そんなイメージです。
外観~脱衣場
私は日曜日の夜7時ごろに東京浴場を訪れました。
光学通り自体が近年リニューアルされて明るい街灯に照らし出されているのですが、その中で東京浴場の玄関には更に明るい照明が灯っており、非常に訪れやすい雰囲気です。
番台から脱衣場へ入ります。
宮造りの天井の高さを体感すべく見上げると、東京浴場の気高い雰囲気の理由が分かりました。
天井に格子状の木組みがあしらわれており、その中に四季折々の繊細な花々の絵が施されているのです。
これは他の銭湯では見たことはありませんが、どこかで見た記憶がありますね。。
そう、目黒雅叙園の百段階段の横にある部屋を彷彿とさせます!!
気品とはまさにこのことですね。
客層は他の銭湯と比べるとお年寄りの割合がやや少なく感じました。
混雑はしておらず、かと言ってガラガラでもありませんでした。
洗い場~湯船
洗い場に入ると、東京浴場の最大の特徴を目にすることができます。
男湯と女湯の間に中庭が存在するのです。
通常の銭湯は左右どちらかにしか窓がないのですが、東京浴場では左右両方に窓があるため、宮造りの高い天井と相まって最大限の解放感を味わうことができます。
また、洗い場から中庭の池の中を水中の窓越しに眺めることができるというギミックが施されており、池の鯉を楽しみながら体を洗うことができます。
ただ、夜になるとあまり見えないのですが。。
洗い場の蛇口の湯の温度は東京の銭湯として標準的で、私にはちょうど良い湯加減でした。
シャワーは壁際の蛇口にしか配置されていませんが、あまり混雑していない事もあり特に不便を感じることはありませんでした。
湯船は、一般的な銭湯に最低限な通常の浴槽と深めの浴槽の他に、もう一つプラスαの浴槽が奥にあります。
この浴槽は少しぬるめで香り付けがされており、変化を楽しめるようになっています。
通常の浴槽の温度は東京の銭湯として標準的な範囲内だが、東京の熱々な銭湯に慣れてしまった私にとってはほんの少しだけぬるめに感じました。
東京浴場は浴槽奥の壁の絵も特徴的です。
通常の銭湯のペンキ絵は言ってみれば「絵と分かる絵」なのですが、東京浴場の絵は写真(グラビア)のようなタッチなのです。
題材は日本の山河の風景で、都会で暮らしていても田舎に戻ったような気分を味わうことができます。
おわりに
大井の東京浴場は目黒雅叙園のような20世紀前半の日本を味わうことのできる意匠に溢れた好銭湯でした。
銭湯好きなら是非一度訪れてみて頂きたいのはもちろんのこと、銭湯好きでない方にも気品に溢れた意匠を楽しむことができる方なら大いに楽しむことができると思います。