これだけ人手不足なのになぜロボットは人の仕事を奪えないのか?考えてみました

今、いろいろな業界で人手不足が叫ばれています。

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宅配やトラックドライバーなどの物流業をはじめ、保育園や介護などのサービス業、小売業、コールセンターの受託業といった色々な業界が人手不足で苦しみ、パート・アルバイトの時給は上がり続けています。

一方、ここ数年ロボットがもてはやされており、ソフトバンクのPepperをはじめ色々なロボットが盛んに宣伝されています。

それとともに、近い将来ロボットが人間の仕事を奪ってしまうのでは?というなかば人々の危機感をあおるような報道も目につくようになりました。

しかし本当にロボットが人手不足に役立つのであれば、もうとっくに世の中はロボットだらけになっているはず。

でも、まだまだ私たちの生活にロボットはあまり馴染みがないのが現状でしょう。

なぜロボットが生活に広がっていかないのか、いくつか仮説を考えてみようと思います。

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ロボットが広まらない理由

動作のプログラムが大変

ロボットの一挙手一投足は、全部人間の手でプログラムされて決まります。人間の引継ぎでよくある「あとは常識で分かる範囲で大丈夫だから、適当にやっておいて」とかいう言い方は、ロボットに対しては今のところできません。

そのプログラムは今のところ専門の技術を持った人間にしかできるようになっていません。子供でも何日か教えればPepperを動かせるようなUIはありますが、お店やサービス業の現場でマニュアル化されたプロのオペレーションの内容を落とし込めるような性能を持っているとはとても思えません。

結局、既存のシステムと同じようにシステムエンジニアが業務を行っている人から要件を聞いて仕様を作ってプログラマがそれを実現するコードを書く。。というようなIT土建業的な事になってしまうのです1)もっとも、素人がたやすくロボットに業務オペレーションを仕込めるようになったところで、「代々引き継がれる謎のExcelやAccessのツール」のロボット版ができてしまうだけかもしれませんが。。

IT土建業は既存のシステムの開発で手一杯で、ロボットへの業務落とし込みノウハウを持っている業者はまだほとんどないでしょう。

まとめると、ロボットを導入したところで、今のところは何か従業員の役に立つようなことを仕込むのにものすごいカネや人手がかかってしまうというわけです。

AI技術が現状抱える問題

将来AI技術が発達すればロボットにいちいちプログラムせずとも「1を聞いて2や3が分かる」ようになるかもしれません。

が、そのAIも1というものは2になることがあったり3になることがあって、こんなときに2になって、こんなときに3になったりするのだよ。。というような膨大な知識を先に投入しておかないと、推論をすることはできません。

AI自体がまだまだ発展途上の技術である上、推論をするための膨大な知識は世界中の企業やら研究者やら国やらがばらばらの断片だけを持っていて、「この知識データは俺のだもんね!」と他人には公開しないで抱え込んでいては、AIが人に近い推論をするようになるまでにはまだまだ時間がかかると思います。

状況把握技術がまだまだ

カメラやマイクや温度計などでとらえた周辺の状況から、「ここに人がいる」とか「今の音は人が『すみません、これ下さい』って言ってる声だ」などという事を把握するには、センサー技術とAI技術の組み合わせが必要です。

こちらもAI技術が特にまだまだ発展途上で、画像認識・音声認識ともに急速に進歩はしているものの実用に向けてはまだまだ課題が残る状況なのではないかと思います。

人を雇う方がコストが安い

AI技術にせよロボットにせよ、最先端の知識を持った技術者が一所懸命研究開発しているので、かなりのコストがかかっています。利潤を追求する企業が開発を進めている限り、どうしても販売価格に転嫁されざるを得ません。Pepperを買おうとすると3年分割払いで100万円以上かかるのが現状です。

一方、ロボットを使う会社やお店にとってみれば、人の代わりになるのかどうか分からない機械に100万円払うのであれば、とりあえず短期でバイトやパートを募集する方がよっぽど安上がりだし手っ取り早いでしょう。

こうすれば広まるのでは?

いきなり汎用性を求めず、できることから

例えば店員の仕事はレジ打ちと品出しと店の掃除と、、といろいろありますが、その全てを一台のロボットでいきなりやろうとするから無理が出てくるのです。

セルフレジとかルンバとか、一つの仕事であればこなす機械はまだ作りやすいです。出来ることからコツコツと自動化して行けばよいのではないでしょうか。

AI推論のもととなる知識を世界で共有しよう

AI技術が使えるようになるかどうかはAI技術そのものの発達もさることながら、ミクロ・ナノレベルの集積技術の進歩と、幅広く深い膨大な知識のデータの蓄積にかかっていると思います。いまのところ各企業や国や研究団体が私権で抱え込んでいる、世界に独立して点在してしまっている膨大な知識をまとめて一つの大きな知識の海をみんなで作っていければよいのではないかと思います。

その知識の海は、Wikipediaみたいに有志で作る財団が管理して、人に危害を及ぼそうとする輩には触らせないようにする仕組みは必要だと思いますが。

おわりに

私はロボットにしろAI技術にしろ、世の中にもっともっと新しい技術が広まってほしいと思っています。その結果いま人がやっている単純な仕事がなくなってしまっても、例えばロボットの動作を仕込む職業とかAIに知識を教え込む職業とか新しい仕事が必ず出てきます。

よく私が例えに使うのですが、陸蒸気がやってきて駕籠かきや飛脚の仕事がなくなってしまいましたが、その代わり機関手や駅員や電信交換手といった新しい仕事が出てきました。機関手の仕事は駕籠かきの仕事より複雑ですが、普及してしまえば別に人知を超えたような複雑さではありません。

「仕事がとられちゃう。。」と嘆くよりも、人手不足が解消されて、例えば宅配便の時間指定が1時間単位で出来るようになる方がよっぽど良い世の中でしょう。

References   [ + ]

1. もっとも、素人がたやすくロボットに業務オペレーションを仕込めるようになったところで、「代々引き継がれる謎のExcelやAccessのツール」のロボット版ができてしまうだけかもしれませんが。。
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